1. 背景

英語学習教材では、不定詞と動名詞の使用は、動詞補語の問題として導入されることが一般的である。学習者は、特定の動詞の後には不定詞が続き、別の動詞の後には動名詞が続くと教えられることが多い。この区別は、want、hope、decide などの不定詞を取る動詞と、enjoy、finish、avoid などの動名詞を取る動詞を分類した一覧として提示される場合が多い。また、remember to do と remember doing のように、両方の形式が可能な場合には、それぞれ意味の異なる特別なパターンとして紹介されることが多い。

とりわけ、like のように不定詞と動名詞のいずれも用いることができる動詞については、like to do と like doing の両方が使えると説明されるにとどまり、話し手がどのような判断のもとで形式を選んでいるのかについては、ほとんど触れられない。その結果、不定詞と動名詞の選択は、動詞ごとの規則や例外として理解されやすく、その背後にある考え方が見えにくいものとなっている。

本稿は、英語学習教材において提示されている不定詞と動名詞の使い分けを、特に両方の形式が可能であるとされる用例に注目して再検討することを目的とする。これらの用例を、自由な言い換えや体系的説明の及ばない例外として扱うのではなく、形式の選択が、話し手が行為や状況をどのように捉えているかとどのように関わっているのかを検討する。


2. 提示される原則

英語学習教材では、不定詞と動名詞の使用は、動詞補語の選択という観点から説明されることが多い。学習者は、ある動詞の後には不定詞が続き、別の動詞の後には動名詞が続くと教えられ、その区別は動詞ごとの一覧として整理されることが一般的である。

こうした基本的な原則に加えて、不定詞と動名詞のいずれも用いることができる動詞の存在も指摘される。その場合、両方の形式が文法的に正しいと説明され、like、start、begin などの動詞が代表例として挙げられる。

さらに一部の教材では、remember to do と remember doing、あるいは stop to do と stop doing のように、不定詞と動名詞の選択に意味の違いが伴う場合があることも示される。こうした説明では、不定詞はこれから行われる行為や目的としての行為を表すものとされ、動名詞は、すでに行われた行為や進行中の活動を経験として捉えるものとされる。これらの用例は、基本的な選択規則とは別に、特別なパターンとして扱われることが多い。


3. 一般に指摘される例外

上述の原則と関連して、英語学習教材では、不定詞と動名詞の使用に関して、例外的あるいは注意を要する用法がしばしば取り上げられる。これらの多くは、両方の形式が可能であるとされる動詞に関わるものであり、形式の選択によって意味が異なると説明される場合である。

不定詞はこれから行われる意図的な行為を表し、動名詞はすでに起こった出来事や経験として捉えられた行為を表すといった説明が与えられることが多いが、こうした説明は個別の用例に限定されることが多い。

一方で、like、start、begin などの動詞については、両方の形式が使用可能であると述べられるものの、二つの形式の間にどのようなニュアンスの違いがあるのかについては十分に説明されないことが多い。その結果、これらの動詞は、明確な規則にも意味差のある対立にも完全には位置づけられない、曖昧な存在として扱われることになる。


4. 教材の分析結果

英語学習教材全体を見渡すと、不定詞と動名詞の選択に関する説明には、いくつかの共通した傾向が見られる。第一に、説明の多くが動詞の種類による分類に依拠しており、形式の選択が語彙的な性質によって決まるものとして理解されやすい。

第二に、意味の違いが説明される場合であっても、それは例外的で局所的な現象として扱われる傾向がある。remember to do と remember doing のような対立と、like to do と like doing のような用例との関連性は、ほとんど示されない。

さらに、多くの教材では、形式の文法的正しさが優先され、形式の選択が話し手の視点や行為の捉え方とどのように関係しているのかについては、十分に扱われない。そのため、不定詞と動名詞の使い分けは、恣意的で説明しにくいものとして受け取られやすい。